研究成果

研究成果

研究成果 平成25年度

本研究計画では、遺伝学的、生化学的、および構造生物学的アプローチを駆使して、マウス由来の新規低分子RNAの解析を進めている。平成25年度における研究実績は次のとおりである。

  • 1) 低分子RNA候補の二次構造解析とクラスタリング

マウスの脳に由来するRNAついての次世代シーケンサーによる配列解析から得られた約1億配列の解析を終了し、現在投稿論文を作成中である。また、マウスES細胞から得られた約6千億配列およびES細胞から神経細胞に分化する過程でのさまざまな段階の細胞から得られたそれぞれ約1千万配列についても解析を進めており、新規低分子RNAの候補を数個見出している。

  • 2) 低分子RNA候補の立体構造形成スクリーニング

新規スクリーニング手法であるNMR試料管内転写法については論文投稿中である。この手法をこれまでに見出した低分子RNA候補に適用し、安定な立体構造を形成するRNAを探索している。

  • 3) ノーザン解析

次世代シーケンサーによる配列解析によって見出した新規低分子RNA候補の発現量等を確認するため、マウスのさまざまな組織からRNAを抽出し、ノーザン解析を行った。昨年度までに、3つのRNAについて強い発現、4つのRNAについて弱い発現を確認しているが、今年度は暫定的にS4-11と命名したRNAが、ほとんどの組織で100残基程度として発現していること、また、いくつかの臓器ではさらに短い断片として発現していることが示唆された。

  • 4) 低分子RNA候補の立体構造解析

次世代シーケンサーによる配列解析によって見出した候補であるS4-11およびS4-22について、NMR法による構造解析を進めた。イミノプロトンシグナルの解析から、それぞれ単一のコンホメーションを形成していることが示唆された。一方、SAT遺伝子座からの発現が確認されている新規低分子RNA候補についてもNMR法による構造解析を進めている。


学会発表

  • 2013年 日本分子生物学会 神戸

マウスの脳から得られた新規低分子RNAの構造解析
○奥居沙弥,牛田千里,清澤秀孔,河合剛太

  • 2013年 日本RNA学会 愛媛

配列解析によって得られた低分子RNAのNMR構造解析
○奥居沙弥,鈴木穣,加藤英政,牛田千里,清澤秀孔,河合剛太
NMR analysis of small RNAs found by the deep sequencing
○Saya Okui, Yutaka Suzuki, Hidemasa Kato, Chisato Ushida, Hidenori Kiyosawa, Gota Kawai