研究概要と目標

研究概要と目標

本研究計画の研究分担者である清澤らは、哺乳動物における内在性のアンチセンスRNAあるいはncRNAを研究中に新しい一群の低分子RNAを発見した。その後の解析で、このサイズの低分子RNAはアンチセンスRNAが転写されている遺伝子座を含め、その他のゲノム全体の領域から転写されていることが判明し、また、その存在の普遍性から生命活動に非常に重要な役割を担っていることが予想されている。

これら新規低分子RNAの機能の解明をめざし、次世代シーケンサーなどによって得られる大量のRNA配列データを、高次構造の視点から解析し、構造を形成して機能するRNAを迅速に見出す手法を開発する。このために、大規模な二次構造予測とその結果を用いたクラスタリング手法を開発し、特徴的な二次構造をもつRNAを効率良く見出すことを試みる。

また、研究協力者の奥居沙弥と共にNMR試料管内転写法によるRNAの立体構造形成のスクリーニング手法を開発し、試料精製等の手間をかけることなく、迅速に立体構造情報を得ることを試みる。さらに研究分担者の清澤および牛田と協力して、これらの手法を実際にマウスから抽出した低分子RNAに適用し、新しいRNA/RNPを見つけ、その構造と機能を明らかにすることをめざしている。

本研究計画では、遺伝学的、生化学的、および構造生物学的アプローチを駆使して、マウス由来の新規低分子RNAの解析を進めるが、特に高次構造に基づく網羅的な解析を中心とした解析を強力に推進することをめざしている。

新規低分子RNA解析の研究概要