研究課題
研究課題
低分子RNA候補の二次構造解析とクラスタリング [河合]
最新のシーケンサーを利用すれば、一度に数千万配列のデータを得ることができる。このような桁の大量データについて、二次構造に基づくクラスタリングを行う技術を開発する。二次構造予測については、千葉工大において開発されたvsfold5を用いる。次に、予測された二次構造を用いて構造パターンに基づく大まかな分類を行う。得られたそれぞれのグループについて、ステムの長さや内部ループあるいはバルジアウトの特徴などを利用して詳細な分類を行い、特定の二次構造を形成する新しい一群のRNAを発見することをめざす。
低分子RNA候補の立体構造形成スクリーニング [河合、奥居]
研究分担者の清澤や牛田によって得られる低分子RNA候補は、40塩基程度のDNAプローブに基づくものであり、その構造あるいは機能解析の前に、正確な発現領域あるいは構造形成領域を知ることが必須である。本研究計画では、二次構造予測と立体構造形成スクリーニングによって、立体構造を形成する領域を迅速に推定する手法を開発する。
配列解析 [清澤]
さまざまな組織あるいは状態の細胞からRNAを抽出し、低分子量画分を得たのち、配列解析を引き続き行っていくことを計画している。なお、配列決定そのものは受託で行う。
マイクロアレイ解析 [清澤]
全RNAを20-40ntおよび40-100ntのサイズに分画し、全RNAと分画したRNAをラベルしてマイクロアレイ解析を行う。この時、全RNAをターゲットとした場合と、低分子RNAをターゲットとした場合の比を計算し、低分子RNAをターゲットとした際に有意に発現が高いプローブを選定する。さまざまな組織あるいは状態の細胞からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を進めることを計画している。
ノーザン解析 [牛田]
マイクロアレイ解析より低分子RNAが検出されるプローブを選定し、マイクロアレイプローブと同一配列のオリゴDNAプローブにより、ノーザンブロットによる低分子RNAの検出を試みる。このとき、細胞を核、細胞質、他細胞内小器官に分画した後、どの画分に目的のRNAが含まれているかノーザンブロットを用いて明らかにし、目的のRNAが含まれている画分をショ糖密度勾配遠心法やグリセロール密度勾配遠心法を用いてさらに分画する。
今後の研究課題
- RACE法による転写単位の同定
- カラムクロマトグラフィーによる結合因子や複合体の精製
- 質量分析法による精製した因子や複合体に含まれる因子の同定
- 低分子RNA、もしくは低分子RNAが由来するゲノム領域近傍の遺伝子の発現様式の検証
- 低分子RNAの二次構造および立体構造の決定
- 低分子RNAとそれに結合するタンパク質との複合体の立体構造解析