研究紹介
RNA工学研究室について
現在,核酸は医薬品として大変注目されています.私の研究室では,RNAや人工核酸の立体構造をベースとして,新しい核酸医薬品,新しい核酸材料を開発することを目指しています.
- 核酸アプタマーとターゲットの相互作用解析
- 核酸アプタマーの作成
- 人工ペプチドとRNAの相互作用解析
- 人工リボザイムの開発
- 核酸材料の開発
- RNAを標的とした次世代核酸医薬の分析技術の開発
SELEX法
SELEX (Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment) 法は,1990年代に確立された実験法で,試験管内分子進化法とも言われます.低分子化合物からタンパク質に至るまで様々な標的に結合する核酸アプタマーを取得する方法です.
ここでは,RNAアプタマーを取得する方法を説明します.ランダムな配列を含むDNAを化学合成し,そのDNAを鋳型として転写反応を行い,RNAプールを調製します.このRNAプールの中から標的分子に結合するRNAを選別し,逆転写反応によってDNAにした後,PCR法を用いて増幅します.このDNAを鋳型として,再びRNAプールを調製します.この過程を複数回繰り返すことによって,最終的に標的分子に強く結合するRNAを取得します.
核酸創薬
これまでの医薬品は低分子化合物が中心でしたが,近年では,低分子化合物から抗体や核酸,タンパク質などの生体高分子を利用した医薬品が注目されています.その中でも,注目を集めているのが,疾病の原因となるRNAを標的としたアンチセンス核酸,siRNA,疾病の原因となるタンパク質を標的としたアプタマーです.
NMR(核磁気共鳴)
NMRを用いて,核酸やタンパク質の立体構造を決定することができます.これらの立体構造がわかると,これらの分子がどのように機能するのかが明らかになります.創薬の現場でも,薬の作用機序について明らかにしたり,品質管理に用いられます.